甲田四郎詩集『くらやみ坂』抄
『くらやみ坂』目次

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♪人にや見せない男の涙
流しの下に置き忘れたクレンザーがすっかり固まって
匙でゴリゴリ削るこんなに固くなるには
人もずいぶん年を食うゴリゴリ
大雨に傘さして道にしゃがんで
コンクリに真っ黒にへばりついたガムを
削り取ろうと金べらでゴリゴリゴリゴリ
ちっとも落ちないで尻が濡れた
ギゴである
そのように顔が鉛色で上下に長く伸びてきた
と思いながら顔を洗った曇天
きつく拭いたが曇天
やっと買いもの行ったのもギゴである