●没後17年 読み継がれる下村康臣『ハドソン河畔の男』
 ワニ・プロダクション/2002年11月刊■A5判 92頁 1500円(+税) 残僅少 ご注文はこちらから⇒ ●MAIL


背後で電話のベルが鳴り続けていた
灰色の空が降りて来ていた
稀薄な湖水は
街の階上を浸しはじめ
水の中で折れ曲がったビルの窓に
無数のいさり火を映していた
人間は半ば鰓を使って
息苦しさを楽しんでいた
人工の風の中で吹き返すと
父が死んだと思うのだ

底に沈んで上がって来なかった父よ
一年後に浮き上り
夏が明けると
どこかへ漂って行った父よ
             「初夏」全行


【収録作品】

雨
初夏
捜索の日
ハドソン河畔の男
映画の終り
腐敗する鳥
雪の場所
ゴムと石
プリントされたもの
乾期
泣く言葉
狂気の愛
マリオ
ロートレアモンの歩行
トウォネラの白鳥
リルケとヴァレリイ
地下街の風景
4115の場所