『春の詩論』注解 1/11

 次頁
『春の詩論』注解


つい二、三日前に稿を閉じた
『春の詩論』の何行かが
ぼくの中を動いていた

ぼくの思考と気分からすれば
それは一息に書かれていた

溶けるとはひとつの行為に於て
男が指先で出会う喜びのしるしであって
雪が溶けた最初の水
かすかな暗闇で
光を乱す水なのだ
精神のひとつの場所であるかのように

外界に溢れて、河川に集り
より季節を露にする
あの濁流ではない
それはもう人の心には似ていない

季節は言葉によって区切られ
一行は前にも後にも掛かっていて
だからこそ、かろうじて現在だった
区切ることによって
過去も未来も
不可能にしたのかも知れない

だからぼくはここに生起した、いつまでも
不満のすき間を捜さなければならないのだ

夕方、著しい落葉が、去年の枯れた林に散っている
もうひとつの秋を生み出すために
秋と冬が繰り返す日々に
いや冬と春が
雪の層から、暖まって
時間を消したフィルムになって

あれもファッションなのか、禿げ頭に