供犠 1/4

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供 犠



同時に異る季節を眺める
頭を振りまばたきすると
ぱたりと入れ替る一枚の絵
春の公園はそこに映っている
周辺と昼とが交互に、眼の中心を作り出す
もう一歩が夜の永遠であるような逸脱した中心
鉄の柵をつなぐ灰色の低い石柱の上に
置かれているタンポポの花輪
不動の平坦さに捕らえられ
しおれてもう美しくはない
植物の系譜を切り
人の記憶を力なくまとわせている

林の一部分が開かれて
日差しがタンポポの群生の上に溢れていた
ポプラ並木の小道があって
一方が地下鉄の駅へ
一方が向うと手前の住宅地を迂回していた
恋人たちも居た筈だし
学校帰りの子供たちも居た筈だ
それらは映像化された記憶と
寸分も違わない真実であった
夜の闇から作られた黒いフィルムに
何枚もの重ねられた場面があり
丁度たった今、供犠の準備を
共に為したのである
その日の余剰が消え去ること、物と共に
物に従った空間と時間が消え去ることが、必要だった
タンポポの花輪は何処でもなく
その時に、その光景の中に、既に置かれたからである

なぜ炉の方へ運ばずに