旧詩帖 1/5

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旧詩帖



  序 文

書き残した筈の(誰が)
テキストの断片
どのように繰り返すべきか
〈愛する者の手は書き得ない〉と
だからこそ書き得たか
(木の葉の沈む水底に降りて)
読み 何者かが読む
(死んだのであれば)閉じられよ
土色の最終稿よ
つめたい灰が降る
布と石の床近く
しかし終りのときに
日差しに入り交じる女の声が
映し出された切れ切れの
言葉をすくう
空の半身は
蒼く染まり
(愛する者の手は
書き得ず
彼方の季節へ
運ばれる)



  儀 式


壁だけの部屋で
常にひとりだ
誰かに出会うが短い発語を読み取り
表面の皺に過ぎない顔を読み解く
彼らは消え去るもの