また会う日まで眠ろう 1/13

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また会う日まで眠ろう



直ぐにも「おじいちゃんおこづかいちょうだい」か、馬鹿々々しい
俺には未だすけべ心がある
祖先がした欲望の哀れな積木
クラクション、先頭の運転手が眠っている
死んでるんじゃないの
この季節にぽっくりと
途中、忘れものを取って
名刺、妙なものだ今更ながら、俺は誰だ?
揺れながらの読書はいい
「かぎりなくドゥルーズ/ガタリの描く分裂症的オイデッブスとし
 ての機械的メカニズム」
それにしても出っぱった腹の下で
長さの違う二本の脚がだるい
出入口のくもった窓を拭くような旅情はない
旅人になれない時代だ
仕方なく開いた向うのホームに黒々とした
下半身の車体、雪の塊をこってり付けて
記憶に重なるね、鉄の街の
千歳で前に立っていた女が降りた
金鎖のついた黒いバッグを持っていたっけ
グレーの毛皮じゃなかった?
でも顔は見てなかった
知っている女達のひとつにすげ替えて安心する
それはもったいない、知らないままに忘れること
とてもまじめな娘だったと思うよ
急に明るい線路が灌木のしげみに添って
階層を成して白い、金属の光
空中の箱のようなもの
前へ行く、後へ行く
上へ行く、下へ行く、表示が目に入る
矢印と数字が。エスカレーターがある
要するに皆、眠っているのさ
いつ目を覚したかも解らずに
待合室のはるか向う
今日も立っているね
と言っても一年振り?