春の詩論 1/5

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春の詩論



日差しの優しい午後
お前を捜そうと思った
ところが言葉が溶け始めたのだ

ベランダも屋内の一部である
そこから墜落すべし
何も流れず
何も咲かない
コンクリートの上であっても

地面は空の一部である
開放棟の精神障害者と同じ言葉を選び
開放棟の囚人と同じ言葉を並べる
現実は巻き取られたフィルムのように
古い手回しの操作で
からからと音を立てる

閉鎖されてからどれ位経った?

ウェイトレスや調理人が時折
外に出て作業をする裏口
横手の付属の理髪店では
螺旋のイルミネーションが回転する
タクシーが出入りし
旅行者の疲れた表情があった
高揚し、そして冷えた頬

思い出はそれらの充分な不在
充ちている不在を吸い込んでから立ち会う
戸口と窓を板で釘付けした旧ホテルの横を通って
公園へ出よう

今日は未だ時間がある
時間があると、これから幾度確かめることができるか
背後に、部屋の箱とざわめいているモニターの箱