惑星ソラリス(ある作品論)



惑星ソラリス (ある作品論)



娼家の外れを出て、事を簡単に運ぶために、
娼家という死語を使うことを許せ。
アイ、そのように世界を組み立ててはいないから。
惑星ソラリスのヒロインのことを思いながら歩いていた
ぼくのやわらかであいまいな身体は
硬く凍り付いた雪という物質の上を
何度も滑りながら進んでいた
幻想の女、夢が生んだ女
作られ、合成された女
彼女と寸分も違わない、すべてが同一である女の
アイデンティティーは何? 永遠の難問だ
多分、同じひとだとして受け入れる勇気しかない
記憶を失う父達、母達を愛するように
そこに魂を求めれば、すべては崩壊する
家並も、立っている樹木も
再生可能、交換可能という命題が
離婿直後のぼくを
絶対的な淋しさの渦の中へ
投げ入れることで救った
このときほどの映画による衝撃は、
後にも先にもない
パークホテルの敷地を曲ったとき、突然
黄色のコートの女と目が合った
一秒にも満たない出現
まれなことだが、美少女という印象が残る
それも又、現実であり幻
出会いというものだ
我々の宇宙船はどこにあるか
あとには、しばれる深夜の街が
横たわっている